人生は刑務所で、無期懲役か死刑宣告されるまで閉じ込められているのだと思っている。俺は間違いなく殺人罪で捕まっているが、自白してここに入った、そんな気がする。
俺を訪ねに来る人に、女性がいる。その人のことを俺は知っているようで知らない。顔も覚えられない。昔から知っていた人で思い出そうとすればどうにかなる気がするが、空回りになる。
いつかその人が、ドアを叩いてくれることを待っている。そして今開こうとしている。
長い受刑生活の中で、外の世界へ恐怖はあるが、心の中に希望はある。
昔思い描いていた、想像を絶する興奮。
人間という生き物が吠える瞬間の興奮。
俺はそれが本当にあると信じている囚人だ。