9/3 染み

俺は人の何を見ていたのだろう。顔だろうか、それとも文章だろうか、手なのか、身体なのか、それとも胸とかなのか、膝なのか。

知っていた人なのに遠く感じたというか、全くの別人のように思えた体験をした。何年も会わない状態の心象は、これからも変わらないままなのだろうか。

 

無様な出来事も沢山あるのに、そのエピソードはその人を構成する材料にはならない。なんて身勝手な脳味噌なんだろう。もしくははじめのインパクトやそれからの付き合いが身体に染み込んでしまい、他の情報を入れる余地を許さなくなってるのだろうか。

 

そう思えば、ビジョンへの野心は既に出来上がり変更の余地などないのである。どんな定理、公式を使っても証明したいのは、その人の美しさであり、俺の青春にとってのヒロインであった、ただそれだけなのだろう。