8/20 書写が嫌いな奴らの人生

綺麗な字を書くのが、小学校で一番嫌いだった。字が下手だと言われて、親が俺の手を握り書かされることが苦痛でしょうがなかった。兄弟の中で賞状を唯一貰っていないと言われるのも腹が立ってしょうがなかった。

 

兄たちは公務員で、俺は個人事業主

兄たちは運動神経が優秀で頭が良く、

俺は平均以下だ。

 

書写なんて嫌いだ。お手本を真似して評価される大会なぞ朽ちてしまえばいい。美術もカリキュラムを進めたいだけの奴に人の何が分かるというのか。俺が面白いと思ったのは美術の教科書のたった1ページだけ書いてあった映画のモンタージュだけだ。

 

同級生は狂ったような自画像を書いていた。そいつは成績が全く優秀ではなく、頭も良くなかったが、ズバ抜けた変人で、個性豊かな自画像を描いていた。俺はその絵が好きだった。刺激的だったから、俺も変なもの描こうと思わされた。

 

そいつは、いま、世界的大企業の物凄いクリエイティブな場所で働いている。俺たちが子供の頃好きだった、あの業界で。

 

学校が扱いきれない狂人は、社会の大部分でも扱いきれない。それは事実だ。自己否定する意味なぞない。 ただ俺たちは、いついかなる時でも自分の思うように生きたかっただけだ。