8/19 空白について

アヒルと鴨のコインロッカー、ターミナルを観て感じたのは寂しいという気持ちだった。でもその気持ちは、胸にぽっかり穴が空く感覚だとしても、愛を感じる瞬間だった。

 

物心ついた時、陽射しが入るリビングルームのレースカーテンの向こうを観ながら「どうして僕はここにいるんだろう」と自問した日を俺は忘れず、未だに抱えている。

 

いま、高校の後輩と未来について話し合っている。その未来がどうして俺を駆り立てるのかというと、その未来が起き得ず空白のままでは、寂しいからだ。寂しくなりたくないから、ちょっとでも埋めたい。小さな起点に、喜びが積もり、心も体も動く。

 

昔の恋人に手料理を振舞われた時、胸が一杯で溢れそうになった。嬉しかった。恋人がいなくなったとき、一ヶ月は胸に穴が空いた。悲しかった。

 

空白が好きだったり悲しかったたり、埋めたかったり埋めてあげたかったり。これからの人生もずっとこのままだ。ずっとずっと。